遊星 :
「 あんまりソワソワしないで〜 あなたはいつでもキョロキョロ〜♪
・・・あれ? ケン太くんじゃないか。 こんなところでどうしたんだい?
」
ケン太と呼ばれた少年 :
「 あぁ、遊星のお兄ちゃん。 ほら、あそこが火事で・・・
」 (指を指す)
「 消防車はまだかー!」
「 こんなバケツの水なんかじゃ全然足りないぞー!」
(ニャー ニャー)
遊星 :
「 ん? 2階に仔猫がまだ残ってるじゃないか!
・・・・よし、まかせろ! 」
(キョロキョロ)
「 このバケツ、借りるぜ! 」 (ザバァッ)
「 あ、お兄ちゃん! 」
(くっ、この・・・待ってろ、今行くぞ!)
「 しっかり、しっかりお兄ちゃん! 」 (心配そうな顔で)
数分後、燃え盛る出口から人影が現れる
「 あぁ、お兄ちゃん! 」
(ドサァッ) 「 ・・・ハァ、ハァ・・・。
さ、もう大丈夫だよ。 森へお帰り」
(ネコ、森へ帰る)
「 大丈夫お兄ちゃん!?あぁ、こんなに炭だらけになって・・・」
「 し、心配ないさ。 や、火傷なんて・・・
気合一発! 勇気100倍! 」 (シャキーン!)
「 よかった、ネコちゃんも遊星お兄ちゃんも無事で・・・ありがとう!
」
「 いいんだよ。ケン太くんこそ、今の優しさを忘れちゃいけないよ
」
「 そうだよね。優しさって大事だよね。・・・・うん、・・・・・」
「 ん?どうしたんだいケン太くん。なにか悩み事でもあるのかい?
」
「 いや、世の中には優しくない人もいるんだなぁって・・・
」
「 いじめられたの? 」
「 そうじゃないんだ。ボクのお姉ちゃんがインターネットやってるんだけど、
あるページに行ったら酷い目にあったって
」
「 インターネット<電脳世界>かぁ。 大丈夫、お兄ちゃんはネットの世界にも強いんだ。
なんせお兄ちゃんはスーパーハッカーで、ドライバのリナックスがLANケーブル推奨だからね。
ネット犯罪にあったらお兄ちゃんにいつでも相談して
」
「 ありがとう。実はボクのお姉ちゃんスーパードルフィーっていうお人形遊びが好きで、
昨日もドルフィーサイトを探すべく検索サイトで検索かけていたらしいんだけど・・・・
」
「 うん 」
「 そこで”ろじっくあんどまとりくす”とかいうサイトに飛んだのね 」
( え? )
「 そこはページ構成も汚くて色合いも見にくいし、
無駄に日記をトップに置いてるから表示に時間がかかるらしいんだ
」
( え? え? )
「 それで・・・あれ、どうしたのお兄ちゃん?
ヘンな汗かいてるよ? 」
「 な、なんでもないよ 」
「 そこの管理人はホントに汚いんだ。
左のメニューでは大手サイトにリンク貼ってなんか媚び売ってるみたいだし、
バナークリック置いて小遣い儲けようとしてるらしいし・・・
」
「 ふ、ふ〜ん 」
「 そういうウザくて器のちっちゃいサイトらしいんだ 」
ズキッ
「 いい大人が、なにやってるんだろうねぇ
」
ズキッ ズキッ
「 あぁいうのを厨房っていうのかなぁ 」
「 ・・・・・ 」
「 そこは他にも・・・あれ、どうしたのお兄ちゃん。
そんなプラトーンみたいなポーズして」
「 な、なんでもないんだよケン太くん 」
「 でさっきのスーパードルフィーの話にもどるけど、うちのお姉ちゃんが検索サイトで
検索かけたときにその ”ろじっくあんどまとりくす”
ってサイトが出たんで、
そのサイトに飛んでみたら・・・ 」
「 ケン太くん、ぼくそろそろ夕食の準備が・・・
」
「 ちゃんと聞いてよお兄ちゃん! ぼく、こういう恥も外聞もない大人って嫌いなんだ!
お兄ちゃんいつも言ってるじゃん!
『恥ずかしいマネはするな、男として負い目を持つな』 って・・・! 」
(・・・・・・・・)
「 ホントひどいんだそのサイト! 別に好きでもないのにお人形の店入って、
なにやったかと思ったらパンツ買ってんだよパンツ!
いい大人がお人形のパンツ買って喜んでるんだよ!!」
は、はぁ・・・
「やっぱ色はピンクだなとか言っちゃってるし。 真性だよ真性。
日記の最後に 「僕たちはなにか大きなものを手に入れた」
って書いてあったけど、
ぜひその調子で逮捕状も手に入れてほしいよね 」
そ、そうね・・・。
「 あと違う日の日記で見かけたんだけど、騎乗位ってなぁに?
なんか長瀬ナントカとかいうおねーさんが男の人に乗っかりながら
騎乗位が輝き続ける限り・・・とか書いてあったんだけど・・・ 」
「 け、ケン太くん! こんな昼間っからそんなに
騎乗位騎乗位言わないの!」
「 え、なにがいけないの? 騎乗位ってなにかイヤらしい言葉なの?
」
「 そ、そんなことないよ。 セイン・カミュだって使っている健全な日本語だよ
」
「 じゃあ教えてよぉ。 騎乗位ってなんなの? 」
「中国語で仮面ライダーって意味だよ」
「 え、それでライダーなの!?
騎乗位=仮面ライダー!?
っていうか中国語なの!? 中国でもライダーってやってるの?」
「 あぁ。 敵をラーメンにしてやっつけるんだ 」
「 残虐超人なんだね。
でも中国語っていうけど、「仮面ライダー」
がどうやったら 「騎乗位」 になるの?
「ライダー」→「騎乗」はわかるけど、「仮面」 → 「位」 は・・・ 」
「 ”位” って文字に注目するんだ。
・ 位 ・
まず顔を近づけてこの↑ピンクの点に両目を合わせて、
画面から少しづつ顔を遠ざけるんだ。 最初は5cm、そして10cm、20cm、30cm・・・・
・・・・・・・・。
・・するとどうだい、「位」の文字が仮面に見えてくるじゃないか。 」
「 MMR並みの強引さだね。
じゃあ騎乗位っていうのはライダーなんだね!
ライダーは輝き続けるんだね! 」
「 そうさ、キミのお母さんだって毎晩ライダーさ!
毎晩毎晩、輝き続ける夜のライダーさ!」
「 ナイトライダーだね! そっか、僕のお母さんはライダーだったんだ!
日夜世の中の平和を守っているんだね!
」
「貞操は守れなかったけどね。
残念ながら、それはお父さんに取られちゃったのさ・・・
」
「 え、じゃあお父さんは悪の怪人なの? 」
「 お父さんはバイクだよ 」
「 ? 」
「 ははは、ケン太くんには難しかったかな
」
「 ふぅん・・・・あ、お母さんだ!じゃあボクもう行くよ
」
「 それじゃ、また明日ね。 あっと忘れてた。
ボクらの勇気、合言葉は? 」
『悪いヤツらは、ブッとばせ!!』
「よし、じゃあね!」
「うん、それじゃあ!」
お母さんの元へ走るケン太くん。
それを見て遊星、逆方向へ走る。
ごめん、ごめんよケン太くん。
お兄ちゃん、ウザくて器の小さいサイトの管理人なんだ。
会社の女の子をネタにして
『天使なのはブラだけかよ!』とか日記に書いちゃう大人なんだ。
走る、走る、遠くへ走る。 それでも涙が止まらない。
きっとケン太くん、今ごろ
「ねぇお母さん、ライダーなんでしょ?
夜はどんな変身してるの?」
って聞いているにちがいない。
走る、走る、東へ走る。 それでも涙が止まらない。
そしてケン太くん、今ごろ
「 変身アイテム見せてよ、変身アイテム!
わかったこれでしょ?
こないだベッドの下で見つけたんだ」 (ウィーン)
とか聞いているにちがいない。
走る、走る、遠くへ走る。 それでも涙が止まらない。
それでも涙が、止まらない。
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